吹く女。
 
 
 
■ どんな女か。
 と、言えば、口紅を二度重ねて塗る女である。
 勿論異なった色合いの奴を。
「どうして」
 と、聞くと、
「なんとなく」
 と、答える。
 そうだろうな。
 と、私は思い、奇麗な女というのは、何処かでそれを自覚しているのだなと続けた。
 
 
 
■ 深い処にいる途中、突然に熱いものが噴出する。丁度、温泉を掘り当てたような按配である。何処までも深くなり、耳の傍で高い声がする。
 
 
 
■「そうだったのか」
 と、煙草を吸っている。
「久し振り。でも、こんなものじゃないの。二度も三度も」
 こういう時、男は泣いてもいいんだろうか。
 「妊娠したことがあるだろう」
 と、言いそうになってやめた。
「騙されやすいね」
 「んん」
 シーツを挟んで目を閉じている。